ブラジル代表を語る上で避けて通れないのが、ネイマール現在のコンディションとチーム内での役割の変化です。サウジアラビア移籍後の大怪我から長いリハビリ期間を経てピッチへ戻った希代の天才ですが、かつてのように全攻撃の起点となり、一人で局面を打開するプレーを90分間維持するのは現実的ではありません。
本人がドキュメンタリー番組の特別インタビューで「自分の身体が以前とは違うことは誰よりも自分が理解している。だが、勝つためにチームへ注げる知性と情熱は失っていない」と赤裸々に語った通り、指揮官は彼を「固定された絶対的スタメン」から「試合の流れを一変させる決定打」として再定義しました。プレッシャーの集中を分散させ、相手守備陣の疲労が見え始める後半の勝負所、あるいはPKやセットプレーの局面で決定的な違いを生み出すジョーカーとしての起用が濃厚です。
この変化により、真のエースとしてセレソンの命運を託されたのがヴィニシウスです。左サイドからの爆発的なドリブル突破はもちろん、中央へ侵入しての決定力、さらには前線からの激しいプレスバックに至るまで、現代フットボールの頂点に立つにふさわしい総合力を身につけました。
かつてカタールワールドカップブラジル代表で見られた「ネイマール依存症」は完全に払拭され、ロドリゴやヴィニシウスが主導権を握り、そこへネイマールがアクセントを加えるという、極めて理に適った共存関係が構築されつつあります。