多くのプライム帯バラエティが放送直後からTVerで配信される中、なぜヒルナンデスは全編配信に踏み切れないのでしょうか。民放キー局の編成関係者や制作現場の証言を総合すると、生放送情報番組ならではの極めて複雑な権利処理のハードルが浮かび上がってきます。
第1の要因は、番組内で大量に使用されるBGMや市販楽曲の著作隣接権です。地上波の生放送で音楽を流す場合と、ネット配信でアーカイブ化する場合とでは、JASRACやレコード会社に対する権利処理の規定および許諾コストが根本から異なります。2時間の放送枠内で数十曲以上がテンポよくインサートされる帯番組において、全楽曲の配信権利を毎日クリアすることは採算面で極めて困難とされています。
第2の要因が、街頭ロケにおける一般人の肖像権と許諾の時限性です。商店街ロケや大型商業施設での中継では、通行人や店員など多数の一般人がカメラに映り込みます。地上波放送での利用承諾は得られていても、無期限または長期にわたるネット配信となると二次利用の承諾ハードルが跳ね上がります。
さらに、毎日複数名が出演する旬のスタジオゲストや曜日レギュラーの所属事務所ごとに、Web配信に関する出演契約の条件が多岐にわたる点も制作陣を悩ませる要因です。こうした構造的制約が重なり、コストと権利クリアランスの観点から「全編フル配信の見送り」という判断が続いています。