それでは、プリン体が極めて少ないはずのワインを飲んで、なぜ痛風発作が誘発されるのでしょうか。その鍵を握っているのが、体内におけるアルコールの二重の尿酸上昇作用です。
第一の要因は、肝臓におけるATP(アデノシン三リン酸)の分解促進です。アルコール(エタノール)が体内に入ると、肝臓は最優先でその解毒・代謝を開始します。この代謝過程で細胞内のエネルギー源であるATPが激しく消費・分解され、その代謝産物として体内で大量のプリン体が新たに合成されます。つまり、口からプリン体を入れずとも、アルコールを分解する体内工場そのものがプリン体を自家生産してしまう構造が存在します。
第二の要因は、腎臓からの尿酸排泄機能のブロックです。アルコールが分解されると中間代謝物として「乳酸」が生成されます。この乳酸が血液中に増えると、腎臓の尿細管において尿酸の排泄経路を奪い合ってしまいます。結果として尿酸の体外排出が強烈にストップし、血液中に尿酸が滞留することになります。
さらに見逃せないのが、アルコール特有の利尿作用による血中濃縮です。体内の水分が尿として失われると血液が濃縮され、血清尿酸値が瞬間的に急上昇します。ワインはビールほどガブガブ飲まないにしても、度数が12〜14度と高いため、脱水傾向が急速に進みやすい特性を持っています。関節に溜まった尿酸結晶がこの急激な濃度変化によって剥がれ落ち、激痛を伴う急性関節炎、すなわち痛風発作を引き起こすのです。