『スチュワーデス物語』が社会現象となった背景には、主題歌の爆発力だけでなく、主演の堀ちえみ、教官役の風間杜夫をはじめとする豪華キャスト陣の凄まじい熱演がありました。
原作は直木賞作家・深田祐介の同名小説。しかし大映テレビが手掛けたドラマ版は、リアリズムを超越したケレン味たっぷりの演出が施されました。堀ちえみ演じる落ちこぼれ訓練生・松本千秋が口にした、
「ドジでノロマな亀」
「教官! 私はやります!」
というセリフは当時の流行語となり、学校や職場での鉄板ギャグとして日本列島を席巻しました。教官・村沢浩を演じた風間杜夫の凛とした佇まい、冷徹でありながら時折見せる包容力は世の女性たちの心を掴み、二人の恋愛感情がストイックな規律の中で交錯する構図は視聴者の焦燥感を煽り続けました。
さらに視聴者に強烈なトラウマとカタルシスを同時に植え付けたのが、新藤真理役を演じた片平なぎさの存在です。事故で両手を失い義手となった婚約者という設定で、村沢教官への執着から「手袋を歯で引き抜いて白く光る義手を見せつける」という怪演は、放送から40年以上経った現在でも語り草となっています。その他にも、高樹澪、山咲千里、春やすこ、白石まるみといった訓練生の同期たちが織りなす友情と嫉妬のドラマ、長門裕之や吉行和子らベテラン俳優陣が支える重層的な人間関係が視聴率を26.8%の高みへと押し上げました。
また、本作における挿入歌や劇伴音楽の役割も見逃せません。劇伴作曲を手掛けた名匠・羽田健太郎によるサスペンスフルなストリングスと、訓練シーンで繰り返し流れる感情豊かなオーケストレーションは、視聴者の緊迫感を常に最大化しました。「What a feeling」のインストゥルメンタル版が劇中のクライマックスで流れる演出は、訓練生たちが困難を突破する最大のカタルシスとして機能していたのです。