視聴者が名前を即座に思い出せない最大の理由は、皮肉にも彼女たちの演技があまりにも完璧だからに他ならない。「自分」という自我を完全に消し去り、脚本上の人物そのものとして画面に溶け込む技術。これこそがバイプレイヤーの極致だ。
日本のテレビドラマにおける名脇役たちは、スター俳優のように「どの役を演じてもその人に見える」ことを求められない。むしろ、前作のイメージを徹底的に破壊し、まったく別の人生を生きることが求められる。昨日見たドラマでは冷酷な毒親だった人物が、翌週のドラマでは涙もろい下町の総菜屋の店主として違和感なくそこにいる。この卓越したカメレオンぶりこそが、名前の記憶をすり抜けさせる最大の要因なのだ。