金沢・野村家はなぜ世界を魅了するのか|名庭園の秘密と見どころ

金沢・野村家はなぜ世界を魅了するのか|名庭園の秘密と見どころ

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武家屋敷跡野村家が国内外で別格の存在として語られる最大の契機となったのは、海外の審美眼による再発見でした。フランスの旅行ガイドブック『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』で堂々の二つ星(寄り道する価値がある)を獲得。さらに米国の日本庭園専門誌『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング(Sukiya Living Magazine)』による日本庭園ランキングにおいて、足立美術館や桂離宮と並び常に上位へ選出され続けています。

広大な借景に頼ることのできない町中の武家屋敷でありながら、なぜこれほどまでに人を惹きつけるのでしょうか。その秘密は、計算し尽くされた「立体的な空間の重なり」にあります。

屋敷の上段の間から縁側へと目を移すと、目の前わずか数十センチの位置にまで大野庄用水から引き入れた曲水が迫り、錦鯉が優雅に身を翻します。平面的に広げるのではなく、高低差を生かした段差構造、落差のある小滝、樹齢400年を超える山桃の古木、そして加賀藩主から拝領したと伝わる大石や灯籠が絶妙なバランスで配置されています。

座敷に腰を下ろして視線を低くすると、室内と庭園の境界が曖昧になり、まるで自然の渓流そのものが部屋の中へと流れ込んできているかのような錯覚を覚えます。この「限られた空間を無限に広げる縮景の手法」こそが、西洋の建築家や庭園研究家を唸らせる決定的な理由です。

山崎 陸
著者

山崎 陸

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