お笑い界には長年、「容姿の欠陥やみすぼらしさは笑いの起爆剤になる」という暗黙の了解が存在していました。しかし、メディアを取り巻く環境は大きく変容しています。
民放キー局のチーフプロデューサーは、キャスティング現場のリアルな空気をこう明かします。
「深夜番組やお笑い特番であれば、歯がないビジュアルは強烈な笑いになります。しかし、ゴールデンタイムの旅番組、グルメレポート、ファミリー向けCMとなると話は別です。視聴者から『見ていて不快』『食べ方が汚く見える』といった厳しい意見が寄せられ、スポンサーが難色を示すリスクが跳ね上がります」
視聴者のSNS上の反応を分析しても、かつてのような「歯がなくて面白い」という単純な面白がり方から、「身体を壊さないか心配」「早くまともな歯科治療を受けてほしい」という健康不安や衛生面への配慮を求める声が主流を占めるようになっています。現代のエンターテインメントにおいて、過度な口内崩壊は武器どころか、活動の幅を狭める決定的な足枷になり得ると言えます。