「息が苦しそうだが、救急車を呼ぶほどの大ごとだろうか」「夜中に子どもが高熱を出したが、救急車を呼んだら迷惑にならないか」。このような躊躇から通報が遅れ、救命率を落としてしまうケースは少なくありません。ここで押さえておきたいのが、119番と#7119の違いを基軸とした行動プロトコルです。
119番は「今すぐ現場に救急隊員・消防隊員を急行させる実動要請ライン」です。これに対し、#7119(救急安心センター事業)は「救急車を呼ぶべきか、自力で夜間当番医を受診すべきかを医療専門職が判定する相談トリアージ窓口」です。迷った場合は#7119へかければ、医師や看護師がプロの問診を行い、緊急性が極めて高ければシステム連携によりその場で119番指令台へ直結回線を切り替えてくれます。
【プロの結論】パニック心理学から見出す「命を救う初動」と判断基準
災害心理学や人間行動科学の分野では、突発的な危機に直面した人間は「正常性バイアス(自分だけは大丈夫だと思い込む防衛本能)」と「認知的トンネル効果(視界と視野が極度に狭まり、ひとつの動作に固執するパニック反応)」に支配されると定義されています。
目の前で家族が倒れたとき、「まさか重病ではないはず」「とりあえず様子を見よう」と時間を浪費するのは正常性バイアスによる典型的な危険反応です。逆に、パニックを起こして住所も言わずに叫び続けるのは認知的トンネル効果の罠です。この心理的落とし穴を回避するため、編集部では以下の客観的クライテリア(判断基準)を推奨します。
【迷わず即座に119番を叩くべき絶対的兆候】
- 突然の激しい頭痛、またはバットで殴られたような衝撃感がある。
- 顔の片側が下がる、両手を前に上げたときに片腕が脱力して落ちる、呂律が回らない。
- 胸が締め付けられるような激痛、圧迫感が2分以上持続している。
- 呼吸が浅く速い、肩で息をしている、唇や指先が紫色(チアノーゼ)に変色している。
- 呼びかけに対して明瞭な返答がない、視線が合わない、意識が朦朧としている。
- 大量の吐血・下血、または骨が露出するような重篤な外傷がある。
【まずは#7119や夜間診療を検討すべき状況】
- 意識は完全に清明で、自力での歩行および会話が支障なく行える。
- 発熱や腹痛はあるが、水分補給ができておりバイタル(呼吸・顔色)に異常がない。
- 数日前からの慢性的な症状であり、症状の急激な増悪が見られない。
- 単に「交通手段がないからタクシー代わりに呼びたい」という動機(※救急リソースの破壊行為に該当)。