ユーザーから最も多く寄せられる相談の一つが、「冷凍室のアイスクリームはカチカチなのに、冷蔵室の野菜や飲み物が冷えない」という奇妙なアンバランスです。実はこれこそ、現代の家庭用冷蔵庫特有の「間接冷却方式(ファン式)」の構造に直結しています。
一般的なファミリー向け冷蔵庫は、冷凍室の奥にあるエバポレーター(冷却器)で一括して極低温を作り出し、その冷気をファンモーターで冷蔵室や野菜室へと送り届けています。つまり、冷凍庫は冷えるのに冷蔵庫が冷えない理由は、冷気そのものが作れていないのではなく、「冷気を冷蔵室へ届けるルート」のどこかが遮断されていることにあります。
その主犯格となるのが、霜取り機能の不具合と解決策に深く関わるエバポレーターの氷結です。冷蔵庫にはヒーターを使って定期的に霜を溶かす自動霜取り機能が備わっていますが、霜取りタイマーや温度ヒューズ、あるいはヒーター自体の断線が発生すると、冷却器の周りに巨大な氷の塊が形成されます。結果として冷気の通路(ダクト)や風量を調整するダンパーサーボが氷で完全に塞がれ、冷凍室の直近しか冷えなくなるという事態が生じます。
もう一つの原因が、ファンモーター故障の異音と前兆です。背面奥から「カラカラ」「ガラガラ」とファンに氷が当たるような異音が響いた数日後、急に音が消えて冷蔵室がぬるくなった場合、モーターが焼き付いて冷気の送風が完全に停止した疑いがあります。この段階に達すると、自力での簡易復旧は難しく、プロによる内部分解やヒーター・ファンの交換が必要となります。