排卵痛に関する最大の盲点は、「排卵が原因の痛み=単なる生理現象だから放置して良い」という危険な思い込みです。排卵痛がひどい原因の裏には、婦人科系の器質的疾患が隠れているケースが多々あります。
特に注意すべき病態の筆頭が卵巣出血です。排卵時に卵胞が破裂する際、運悪く卵巣表面の細い血管を傷つけてしまうと、腹腔内への出血が止まらなくなることがあります。お腹の中に血液が溜まることで激しい腹膜刺激症状が起き、歩行困難、血圧低下、吐き気、顔面蒼白といった急性腹症を引き起こします。放置するとショック状態に陥り緊急開腹手術が必要となるケースもあるため、「排卵日付近の突然の激痛」は決して軽視できません。
さらに見逃せないのが子宮内膜症や卵巣チョコレート嚢胞の存在です。本来は子宮の内側にしか存在しない内膜組織が卵巣や骨盤腹膜に増殖すると、周囲の臓器との間に強固な癒着を引き起こします。排卵によって卵巣が腫れたり動いたりするたびに癒着部位が強く引っ張られるため、息が止まるほどの痛烈な排卵痛として発現するのです。年を追うごとに排卵痛が重くなっている場合、すでに子宮内膜症が進行している可能性を視野に入れなければなりません。