『CRAZY FIVE』がファンの間で「涙なしには聴けない」と語り継がれる最大の理由は、この楽曲が作られた背景と、そこに込められたリーダー・中居正広の剥き出しの愛情にあります。本作が世に出た2012年は、SMAPにとって結成24周年、CDデビュー21周年の節目でした。すでに国民的グループとしての地位を不動のものにしていた彼らですが、その道のりは決して平坦なものではなく、メンバーの脱退や活動休止、過熱するメディア報道など、幾度となくグループ存続の危機に直面してきました。
そうした荒波を共に乗り越えてきた中居正広が、盟友である作曲家・宮下浩司氏らと共に「N.マッピー」として構築したメロディと歌詞には、メンバー一人ひとりの人間性が克明に刻み込まれています。木村拓哉の圧倒的なカリスマ性と情熱、稲垣吾郎の気品とブレないマイペースさ、草彅剛の純真さと内に秘めた狂気的なストイックさ、香取慎吾の天真爛漫さと最年少としての背負い込み、そして自分自身の道化としての覚悟。これらを、他者ではなく「苦楽を共にしたリーダー自身」が言葉にしたからこそ、歌詞の一行一行が真実味を帯びて胸に迫ります。
特に後半、テンポが落ちてメロディアスな展開へと舵を切るパートでは、「1、2、3、4、5」と数字を積み重ねながら、最後に「そうさ No.1」と歌い上げられます。これは初期の名曲『BEST FRIEND』や国民的ヒット曲『世界に一つだけの花』へのオマージュを内包しながらも、「この5人でなければ意味がない」「どれか一つでも欠けてはならない」という強い宣言にほかなりません。照れ屋で直接的な愛情表現を好まない中居正広が、音楽というキャンバスに叩きつけた「5人の絆」へのラブレター。この剥き出しの感情の純度こそが、多くのリスナーの涙腺を決壊させる真相です。