結論から言えば、宇多田ヒカルと椎名林檎の仲は極めて良好であり、音楽界でも類を見ない深い信頼関係で結ばれています。インターネット上や週刊誌で幾度となく取り沙汰されてきた「不仲説」の多くは、1990年代末から2000年代初頭にかけての苛烈なCDセールス競争期に、メディア側が作り上げた「対立の構図」に過ぎません。
当時、洋楽直系のR&Bサウンドで社会現象を巻き起こした宇多田ヒカルと、昭和歌謡やロック、文語体を融合させた文学的アプローチで衝撃を与えた椎名林檎は、作風こそ対極に位置していました。しかし、共に10代で作詞作曲を自ら手掛け、自身のアイデンティティを音楽へ昇華させていた表現者同士として、ふたりは最初期から深い共鳴を覚えていたことが当時の手記や対談から明らかになっています。
実際、互いの公式SNSやメディアインタビューでも、リスペクトに満ちた言葉が絶えることはありません。椎名林檎は宇多田ヒカルの活動休止中もその存在を気遣い続け、宇多田ヒカルが音楽活動を再開した2016年には、アルバム『Fantôme』収録の『二時間だけのバカンス』で満を持しての公式デュエットが実現しました。不仲であればこのような濃密なコラボレーションが成立するはずもなく、ふたりの仲の良さは公私ともに揺るぎない事実です。