知名度の上昇とともに、ネット上では夫人を標的とした常軌を逸した陰謀論が飛び交うようになりました。その最たる例が、2026年秋頃から極右系コミュニティやSNSを中心に爆発的に広がった「ブリジット夫人は男性として生まれた」というフェイクニュースです。
この言説は、「彼女の正体は実兄であるジャン=ミッシェル・トロニョーであり、性別適合手術を受けて妹の身代わりになった」という荒唐無稽なストーリーでした。自称ジャーナリストや霊感商法関係者がYouTubeやX(旧Twitter)上でハッシュタグを組織的に拡散し、フランス国内のみならずアメリカの極右陰謀論者(Qアノン界隈)にまで飛び火しました。
この事態に対し、ブリジット夫人と親族は断固たる法的措置に踏み切りました。パリの裁判所へ名誉毀損訴訟を提起し、2026年から2026年にかけて下された判決において、虚偽の情報を捏造・拡散した主謀者らに対し、損害賠償金の支払いを命じる有罪判決が下されました。司法の場において、疑惑とされた主張は根拠を一切欠く悪質な名誉毀損であることが完全に証明されています。
なぜこれほど荒唐無稽なデマが信憑性を持ったのか。背景には、24歳年上の妻という「既存の常識から外れた存在」に対する無意識の女性嫌悪(ミソジニー)とエイジズム(年齢差別)が横たわっています。異端のカップルを説明づけるために「生物学的な異常性」を捏造しようとする、ネット社会のダークサイドが浮き彫りになった事件でした。