記憶を失っていた25年間、鈴羽は決して孤独に苦しんでいたわけではありませんでした。下町の人々に受け入れられ、天王寺裕吾を引き取り、彼にとって実の母のような存在として深い絆を築いていました。
しかし、その平穏で温かな日々こそが、記憶を取り戻した瞬間に「取り返しのつかない罪悪感」へと反転します。ディストピアで苦しむ未来の仲間たちを救う唯一の希望だった自分が、ぬくぬくと25年間も無為に過ごしてしまったという事実。この落差が、彼女の精神を完全に崩壊させました。
「失敗した」という言葉の連打は、単なる作戦の失敗を意味するだけでなく、自分の生きてきた人生そのものが完全に無駄であり、仲間を裏切ってしまったという自己否定の極致だったのです。