違和感を払拭し、自然で美しい立ち姿を構築する上で欠かせないのが、骨盤と手の位置関係のデッサンと、イタリア語で「対照」を意味するコントラポスト(Contrapposto)の理論です。
腰に手を当てるポーズの描き方において、最初に行うべきは「重心足(軸足)」と「非重心足(遊脚)」の決定です。直立不動で両脚に均等に体重をかけるポーズ以外、人間は片足に体重の7割以上を乗せてバランスをとります。このとき、体重が乗った側の骨盤は斜め上へと引き上げられ、逆にバランスを取るために肩のラインは骨盤とは反対の向きへ傾きます。この「腰の傾き」と「肩の傾き」が反発し合う交差構造こそがコントラポストの真髄です。
イラストのアタリを取る際は、手首の角度を単体で決めるのではなく、以下のステップで身体の連動ラインを引いていきます。
- ステップ1(骨盤の傾き):パンツの履き口をイメージした楕円を描き、重心足側を高く、反対側を低く傾ける。
- ステップ2(ランドマークの特定):骨盤の前上腸骨棘(腰骨の前側の出っ張り)と大転子の位置に印を打つ。ここが手のひら、あるいは親指の置き場となる。
- ステップ3(肩甲骨と鎖骨の反発):骨盤が上がった側の肩を下げ、骨盤が下がった側の肩をやや引き上げるか、腰に手を強く押し当てている側の肩甲骨を外側へ張り出させる。
- ステップ4(肘の前後パース):肘を真横に張るのではなく、キャラクターの感情や視線に合わせて前後に振る(胸を張るなら肘はやや後ろ、挑発的なら肘を前へ突き出す)。
この手順を踏むことで、骨盤と手の位置関係が解剖学的に固定され、手首が自然な角度(前腕に対して15〜30度程度の適度な角度)で骨盤に収まります。