国内のオンライン旅行会社(OTA:Online Travel Agent)市場は、長年しのぎを削る国内巨大プラットフォーム、富裕層・高付加価値層を掌握する特化型サイト、そして圧倒的な価格攻勢を仕掛ける外資系OTAの三つ巴の様相を呈しています。利用者の利便性を左右する根本的な違いは、各社が敷く「ビジネスモデルと顧客基盤」にあります。
国内旅行予約サイトおすすめの上位に必ず名が挙がる楽天トラベルは、楽天市場や楽天カードを中心とする巨大な「楽天経済圏」のインフラとして機能しています。単なる宿泊手配にとどまらず、SPU(スーパーポイントアッププログラム)の倍率アップや日常の買い物で貯まったポイントの流用において、圧倒的な生活密着型の強みを誇ります。
対するリクルート運営のじゃらんnetは、日本全国の隅々まで張り巡らされた宿泊施設との強固な営業網が最大の武器です。地方の小規模な温泉旅館や民宿の掲載数は業界随一であり、Pontaポイントやdポイントとの相互連携による汎用性の高さが幅広い年代の支持を集めています。
一方で、明確な差別化路線を貫くのが一休.comです。独自の厳格な掲載審査基準を設け、いわゆる高級旅館・ラグジュアリーホテルに特化しています。安売り競争とは一線を画し、上質な体験を求める層に対して直感的なUI(ユーザーインターフェース)と、獲得予定ポイントをその場で値引きに充当できる「即時利用」システムで熱烈なファンを囲い込んでいます。
これら国内勢に対し、急速にシェアを伸ばしたのがシンガポールに拠点を置くアゴダ(agoda)などの外資系OTAです。空室を抱えるホテル側が直前に投げ売る在庫をアルゴリズムで買い叩き、驚異的な表面価格を打ち出す手法で若年層を中心に浸透してきました。しかし、そのビジネス慣行やサポート体制をめぐっては、国内勢と異なる特有の注意点が潜んでいます。