スーパーの店頭で頻繁に見かける光景が、実のお尻や側面を指先でグッと押し込み、柔らかさを確かめようとする行為です。SNSやネット掲示板でも「押して柔らかいものを買うべき」といった誤ったノウハウが散見されますが、これは果物売り場における最大のタブーであり、品質を致命的に破壊する行為です。
桃の表皮および果肉細胞は極めて繊細です。大人の指先で軽く押しただけでも、皮の下の細胞が押し潰され、数時間後にはそこから茶色く変色して腐敗が始まります。スーパー側にとっても廃棄損(ロス)の最大の原因となっており、近年では監視カメラの強化や注意POPの掲示が強化されています。売り場では絶対に指で押さず、「視覚(お尻の色・果点・左右対称性)」と「嗅覚(甘い芳香)」だけで選別するのがプロのマナーであり、自分自身も傷んだ桃を掴まないための防衛策です。
また、傷んだ桃と美味しい桃の見分けにも注意が必要です。果皮全体に広がる細かい白い斑点(果点)は高糖度の証ですが、「局所的に黒ずんでいる斑点」や「果皮がブヨブヨと浮いて褐変している部分」は、落下や輸送時の衝撃による打ち身です。傷みがある個体はそこから急激にエタノール臭(発酵臭)が発生し、果肉全体に嫌な苦味が回ってしまうため、パック詰めされている場合は裏側まで傾けて確認することが失敗を防ぐ鍵となります。