境内の奥にたたずむ国宝館(大山祇神社宝物館)の重い扉を開けると、そこは日本の軍事史・工芸史の粋が凝縮された異空間だ。源氏と平氏の武将たちが合戦の勝利を祈願し、あるいは報謝のために奉納した武具・甲冑類が所狭しと並ぶ。驚くべきことに、日本全国に現存する国宝・重要文化財指定の甲冑のうち、約8割がこの島の一社に集結している。
とりわけ目を奪われるのが、源義経が奉納したと伝わる「赤糸威鎧」だ。戦場を疾駆した悲劇の英雄が、自らの命運を託して大山積神の前に捧げた現物が、ガラス越しに静かな光を放っている。他にも弁慶の薙刀や各大名の銘刀が並び、祈りと刃が表裏一体であった時代の生々しい迫力を突きつける。御朱印を受ける前後にこの宝物を直視することは、文字の背景にある武将たちの激動の祈りを追体験することに等しい。