松島海岸の陸上展望台(四大観など)から眺める景色も格別ですが、なぜ多くの観光客や紀行作家が「遊覧船に乗らなければ松島の真価はわからない」と口を揃えるのでしょうか。そこには海上からしか味わえない決定的な理由があります。
第一の理由は、島々の造形美を数百メートルの至近距離で鑑賞できる点です。松島湾のシンボル的存在である「仁王島(におうじま)」は、長年の波浪侵食によって仁王像が煙管(キセル)をくわえて座っているような奇跡的なシルエットを形成しています。陸地からは米粒ほどにしか見えないこの奇岩も、遊覧船であれば岩肌の凹凸や地層の重なりまで鮮明に視認できます。
さらに、鐘のような形をした「鐘島(かねじま)」の4つの洞門、伊達政宗公が「余の館へ運んだ者には銭千貫を遣わす」と称えたと伝わる「千貫島(せんがんじま)」など、歴史と伝説が息づく島々が船内アナウンスの解説とともに次々と目の前に現れます。洋上の静寂と潮風、そして視界360度に広がる島影のコントラストは、陸上の展望スペースでは決して得られない没入感をもたらします。