インド料理店を巡っていると、「パニプリ」以外に「ゴルガッパ」や「プチカ」といったメニュー名を目にすることがあります。「これらは別物なのか?」という疑問を抱く読者も少なくありません。
結論から言えば、これらは基本的に同系統の料理であり、インド国内の地域による呼称とローカルアレンジの違いに過ぎません。しかし、現地の人々にとっては出身地のプライドを賭けた明確な差異が存在します。
- パニプリ(西インド・南インド):ムンバイやマハーラーシュトラ州、グジャラート州を中心とした呼び名。スープにはミントとタマリンドを効かせ、フィリングには温かい白エンドウ豆のカレー(ラグダ)やマッシュポテトを使用します。日本で流通するスタイルの大半がこの系統です。
- ゴルガッパ(北インド):デリーやパンジャーブ州周辺での呼称。「ゴル(丸い)」「ガッパ(一飲み)」という語源を持ちます。生地にセモリナ粉を多く用いて硬めに揚げることが多く、スープにはクミンやミントに加え、ドライジンジャー(ソント)の効いた甘酸っぱいソースを多用する傾向があります。具材は茹でジャガイモと黒ヒヨコ豆が主流です。
- プチカ(東インド・西ベンガル地方):コルカタ(旧カルカッタ)などで愛されるスタイル。プリのサイズがやや大ぶりで、フィリングにはマッシュポテトに青唐辛子と独自のスパイスを強烈に練り込みます。スープはタマリンドの原液を主体としたガツンと重みのある酸味が特徴で、甘味をほとんど加えないシャープな味わいが愛されています。
呼び名が異なる背景には、広大なインド亜大陸における言語と気候風土の違いが色濃く反映されています。どれが優れているかではなく、酸味の強さや甘味の有無、生地の歯ごたえなど、地域ごとの個性を楽しむのがエスニック通の醍醐味です。