中華料理の現場でナスを扱う際、最も基本でありながら技術の差が出るのが乱切り(回し切り)です。適当に斜め切りを繰り返すだけでは、端の部分が薄くなりすぎて焦げ付き、中央の太い部分は生焼けになるという加熱ムラを引き起こします。
麻婆茄子における乱切りの正しい手順:
- ヘタのトゲに注意しながらガクをぐるりと切り落とし、鉛筆を削るように先端を整えます。
- まな板に対してナスを斜め45度に配置します。
- 包丁を斜めに入れ、1口大(約3〜4cm角)に切り落とします。
- ナスを手前または奥に向かって「90度(1/4回転)」回し、再び同じ角度で包丁を落とします。
- これをリズミカルに繰り返すことで、すべてのピースに「皮」と「果肉」がバランスよく配分された多面体が完成します。
プロが意識しているのは「体積の均一化」です。ナスの太いヘタ側と細い先端側では肉厚が異なります。細い部分は刃を入れる間隔を広めにとり、太い部分は間隔を狭くすることで、火が入るスピードを完璧に同期させることができます。この大きさを揃えるひと手間によって、炒め合わせる際にすべてのナスが同時に最高のトロトロ状態へと到達します。