頬に手を当てる如意輪観音の秘密|国宝仏が示す慈悲と真言の真価

頬に手を当てる如意輪観音の秘密|国宝仏が示す慈悲と真言の真価

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如意輪観音の身体から放射状に伸びる六本の腕は、迷妄の世界である六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天)のすべてに救済の手を差し伸べるためのスーパーマルチタスクの象徴です。六観音信仰において、如意輪観音は特に天道(てんどう)の救済を担当します。天道に住まう天人であっても、死の直前には「天人五衰(てんにんのごすい)」と呼ばれる凄惨な衰退と苦悩に見舞われます。如意輪観音は、歓楽を極めた者すら逃れられない究極の苦痛すらも包摂して救い上げる役割を担っているのです。 それぞれの腕(六臂)には明確な役割と持物が割り振られています。 * 右第一手(思惟手):頬に指を当て、六道すべての衆生の苦しみを救う思索を巡らせる。 * 右第二手(如意宝珠):胸の前で宝珠を捧げ持つ。財宝や福徳を意のままに出し、人々の物質的・精神的困窮を救う。 * 右第三手(念珠):数珠を持ち、煩悩を断ち切る不断の修行と信徒の救脱を支える。 * 左第一手(光明山):手のひらを下に向けて山(金剛山)を押し、動揺する心を大地のように安定させる。 * 左第二手(未敷蓮華):泥の中から清らかに咲く蓮の花を持ち、煩悩に汚れない清浄な菩提心を育む。 * 左第三手(法輪):指先で仏法の車輪を回転させ、あらゆる迷いや邪悪を粉砕し、真理を広める。 なかでも尊名に冠されている如意宝珠(にょいほうじゅ)と法輪(ほうりん)の組み合わせは格別の功徳を誇ります。「世間の富や健康を満たし(如意宝珠)、出世間の智慧によって迷いを打ち砕く(法輪)」。世俗的な願いの成就と、究極の精神的解脱を両輪で叶えることこそが、如意輪観音という仏格の本質なのです。

石川 優花
著者

石川 優花

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。