「体重は20代の頃と変わらないのに、なぜか脇まわりだけがたるんで段差になる」――フィットネスジムのカウンセリング現場や大手下着メーカーの試着室で、30代から50代の女性から最も多く寄せられる切実な悩みです。この現象の背景には、皮膚の下で起きている構造的な変化が存在します。
脇肉がつく原因と理由を掘り下げると、決定打となっているのは姿勢改善猫背巻き肩の放置です。長時間のスマートフォン操作やデスクワークによって頭部が前に突き出ると、肩甲骨が外側に開いたまま固まります。すると、胸の前側にある大胸筋が縮こまる一方で、背中を支える広背筋や僧帽筋下部が伸びきって筋力を失います。本来ならバスト周りの脂肪を支えるべき筋膜のテンション(張力)が失われ、行き場を失った組織が脇の下へと雪崩れ込んでしまうのです。
もう一つの見落とされがちな要因が、脇下リンパ節の圧迫と循環不良です。締め付けのきついワイヤーやサイズが合わない下着を着け続けていると、脇の下にある腋窩(えきか)リンパ節の巡りが滞り、老廃物を含んだ水分が皮下組織に停滞します。これが慢性的なむくみとなり、冷えて固まったセルライト様のハミ肉へと定着してしまいます。つまり、脇のハミ肉は「余分な脂肪」というよりも、「支えを失って外側に押し出された組織とむくみの塊」と捉えるのが、解剖学的に正確な事実です。