小柳がなぜオネエ言葉を纏い、周囲と一線を引いて生きるようになったのか。その背景には、幼少期からのセクシュアリティに対する葛藤と家族からの抑圧が存在します。
厳格な家庭で育った小柳は、幼い頃から男性としての「男らしさ」を強要され、自身の繊細な感性や同性への興味を否定され続けてきました。過去の恋愛でも手痛い裏切りを経験し、「完璧なエリート男性」を演じながらも、傷つかないための防具としてオネエ言葉というペルソナ(仮面)を身につけたのです。
そんな小柳の頑丈な鎧を打ち破ったのが、皮肉にも彼自身がプロデュースした藤子でした。自分に自信がなかったはずの藤子が、小柳の過去や弱さを受け止め、「どんな小柳さんであっても、私は小柳さんが大好きです」と無条件の肯定を伝えた瞬間、小柳の長年の呪縛は解き放たれます。小柳が藤子を変えたと同時に、藤子もまた小柳の過去を救済したという双方向の救いが、本作の最大の魅力となっています。