一杯のカクテルができるまでの所作は、まるで洗練された茶道の儀式を眺めているようだ。メジャーカップに注がれる液体の静かな音、シェーカーが奏でるリズミカルで力強い金属音。その一挙手一投足に無駄がなく、美しく洗練された動きに見とれてしまう。
「材料の背景にある農家さんや蒸留家さんの想いを、そのままグラスというキャンバスに描くだけです」。そう微笑みながら語るマスターの手元からは、季節のフルーツやハーブの瑞々しい香りが立ち上る。一杯ごとに語られるストーリーに耳を傾けることで、味わいは何倍にも深く、余韻の残るものへと変化していく。