精神的な苦痛が深まった結果、最終的に法的な決着を模索するケースも増えています。法律上、性交渉の拒絶はどのように扱われるのでしょうか。
離婚事由としての成立要件
民法第770条1項では裁判上の離婚原因が定められていますが、セックスレスは第5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し得ます。ただし、単に「数ヶ月関係がない」というだけで即座に裁判所が離婚を認めるわけではありません。法的に破綻とみなされるためには、以下の要素が総合的に審査されます。
- 正当な理由のない一方的な拒否が長期間(通常は1年〜数年以上)にわたって継続していること
- 話し合いや医療機関の受診など、改善のための真摯な努力を一方または双方が拒絶していること
- 性生活の不在によって婚姻関係そのものが実質的に修復不可能な段階まで破綻していること
慰謝料請求の可否と相場
正当な理由のない完全な拒否によって婚姻が破綻した場合、拒絶し続けた側に対して有責性が認められ、不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)の請求が認められる裁判例が存在します。認容額の相場は100万円〜200万円前後となるのが一般的ですが、同居期間、別居の有無、子どもの有無、拒絶の悪質性によって変動します。
レスを理由にした不倫・浮気の法的判断
「配偶者に拒否され続けているのだから、外で満たしても仕方がない」という論理は、インターネット上でも頻繁に散見されます。しかし、日本の裁判実務において、配偶者のセックスレスを理由とした不貞行為が正当化されることは原則としてありません。
判例上、配偶者の不貞行為に対する損害賠償義務が免責されるのは、「不貞行為が行われた時点で、既に別居状態にあるなど婚姻関係が客観的に完全に破綻していた」と証明できる極めて限定的なケースに限られます。レスを理由に不倫に走った場合、法的には自身が「有責配偶者」となり、相手から高額な慰謝料を請求される側に転落するリスクがある点に注意しなければなりません。