本作最大の白眉は、伝統芸能である歌舞伎の世界を極限までのリアリティでスクリーンに立ち上がらせた点だ。任侠の血を引きながらも女形としての才能を開花させていく主人公を演じる吉沢亮と、名門の血筋を背負うライバル役の横浜流星。二人は撮影開始の数か月前から第一線の師匠のもとへ通い詰め、扇子の持ち方一つ、目線の配り方一つに至るまで身体に叩き込んだ。
立ち振る舞いの優美さと、その裏に潜む血のにじむような努力。スクリーンに映し出される一挙手一投足には、もはや演技の枠を超えた本物の覚悟が宿る。若手トップランナーの二人が肉体の限界に挑んだ舞台裏は、観る者の胸を深く打つはずだ。