中東諸国に対する一般的な先入観として「アラブの男性はみな複数の妻を囲っている」と思われがちですが、実情は大きく異なります。
サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などの湾岸諸国において、実際に複数の妻を持つ男性の割合は全体の5〜8%程度にとどまります。最大の障壁となっているのが、シャリーアに明記されている「妻たちへの絶対的な平等待遇」という極めて厳しい条件です。
イスラム法上、夫はすべての妻に対して同等の生活水準を保証しなければなりません。具体的には以下のような厳格なルールが課されます。
・各妻に完全に独立した住居(または同等規模の独立した居住空間)を提供する
・衣服費、生活費、貴金属などの贈り物はまったく同じ価値のものを与える
・夫が宿泊する日数や訪問頻度を公平にローテーションする
これらを満たすには莫大な経済力が必須となるため、中東の都市部で一般的なサラリーマン層が複数婚を実行することは現実的に極めて困難です。条件を満たせない不公平な扱いは宗教裁判で重大な契約違反とみなされます。