隠という存在を語る上で絶対に外せない人物が、23歳の隊員「後藤(ごとう)」である。遊郭編の激闘の後、満身創痍で崩壊した街に倒れていた炭治郎たちを最初に発見し、息があることに感涙したあの男だ。気絶から目覚めた炭治郎に高級なカステラを買い与え、周りの無頓着さに怒涛のツッコミを入れる彼の姿は、視聴者に強い印象を残した。
後藤は、異常なほどの精神力を持つ柱や主人公たちとは異なり、極めて常識的な感覚を持つ「一般人」の代弁者だ。「頼むから生きてくれ」「なんでこんな無茶をするんだ」という彼の心の叫びは、死と隣り合わせの異様な世界において、観客が抱く感情そのものを代弁していた。天才や怪物たちがぶつかり合う物語の中で、後藤のような凡人が自分の役割を愚直にこなす姿があるからこそ、作中の死闘がいかに異常で過酷であるかが立体的に際立つのだ。