結論から言えば、仏教の教えにおいて「この金額を包んではならない」という明確なタブーは存在しません。お布施とは本来、読経や戒名に対する商業的な対価(サービス料)ではなく、御本尊への感謝や寺院の護持のために差し出す「喜捨(きしゃ・財施)」だからです。しかし、実際の儀礼現場では、遺族や参列者の心理的抵抗を避けるために慣例として避けられる数字が存在します。
特にお布施で避けるべき数字の理由として筆頭に挙げられるのが「4」と「9」です。お布施で4と9がダメな理由は極めて明確で、日本語の語呂合わせによって「4=死」「9=苦」を想起させるためです。仏教そのものの戒律ではなく、日本古来の言霊信仰や忌み数(いみかず)の慣習が冠婚葬祭に持ち込まれた結果、縁起を担ぐ意味で4万円や9万円、40万円といった端数を避ける傾向が定着しました。
一方で、広く信じられているお布施で偶数はNGとされる真相を検証すると、根拠の薄い誤解であることが分かります。結婚祝いなど慶事で「割り切れる=別れ」を嫌って奇数が好まれるルールや、香典で偶数を避ける風習と混同された結果、「お布施も偶数はダメなのでは」という俗説がネットを中心に広がりました。
寺院関係者へのヒアリングによると、実際のお布施では2万円、10万円、20万円、30万円といった偶数の金額が日常的に納められています。ただし、2万円や4万円といった少額域では、前述の「4」を避ける配慮や、地域の慣習で奇数(3万円や5万円)が無難とされるケースもあるため、地域の慣例を重んじる寺院では奇数を選ぶのが確実な選択肢となります。