日本中のお茶の間が土曜夜8時に釘付けとなった伝説の公開生放送番組『8時だョ!全員集合』(TBS系)。最高視聴率50.5%を記録したこの怪物番組の過酷な現場こそが、「加トちゃんペ」が産声をあげた場所でした。
当時の特番インタビューや自著の手記において、加藤茶氏はその誕生の瞬間を明確に述懐しています。生放送のコント中、段取りが狂い、次のセリフが頭から完全に飛んでしまうハプニングが発生。数秒の沈黙すら放送事故になりかねない極限のプレッシャーの中、加藤氏が咄嗟に取った行動が、ちょび髭のついた鼻の下を指で押さえ、変顔を作りながら「加トちゃん、ペッ!」と叫ぶことでした。
客席は一瞬の静寂ののち、地鳴りのような大爆笑に包まれました。リーダーのいかりや長介氏もその場の瞬発力を絶賛し、急遽台本に正式採用されることになったという経緯があります。計算され尽くした構成とリハーサルを重んじるドリフターズの舞台において、加藤茶という希代のコメディアンが持っていた「天性のリズム感」と「動物的な勘」が生み出した、まさに奇跡のアドリブでした。