祭りの現場で「あの人の法被姿は格好いい」と目を引く担ぎ手は、例外なく帯の位置と締め込みが完璧に決まっています。帯が動くたびに緩んでしまう最大の要因は、結び目自体の強度ではなく、身体に対する「帯を締める位置」の力学的エラーにあります。
胴回りのもっとも細いウエスト部分で帯を締めてしまうと、神輿を担ぐ上下動や呼吸に伴う胸郭の拡張によって帯が上下にスライドし、摩擦を失って一気にほどけてしまいます。美しい着姿を保つための祭り帯位置と合わせ方における黄金律は、「へそ下3寸(約9cm)の丹田を通り、腰骨の上に乗せる」ことです。
横から見た際に、前側が低く背中側が高くなる「前下がり後ろ上がり」の傾斜を作ることで、人間の重心と骨盤の形状に帯がしっかりと引っかかります。さらに、祭り半纏帯の締め方では、1周目を巻いた段階で一度息を吐ききり、下腹部に適度な腹圧をかけた状態でグッと締め上げることが、終日着崩れを防ぐ最大のポイントです。