ネット上の掲示板やSNSでは、「海外からの電話は、出た瞬間に何万円も引き落とされる」という言説がまことしやかに囁かれています。しかし、通信工学および大手通信各社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル)の課金規約に照らし合わせると、これは明確な事実誤認です。
日本国内でスマートフォンを使用している場合、海外からの国際電話を「受信(着信に応答)」しても、着信側に通話料が課されることはありません(※自身が海外ローミング中に着信した場合を除く)。料金が発生するのは、あくまで「こちらから発信(折り返し)した瞬間」に限られます。
では、なぜ「出るだけで危険」と言われるのでしょうか。その真の脅威は、金銭的請求ではなく心理学的トラップと情報流出のメカニズムにあります。
電話に出て声を発した瞬間、相手の自動システムは「この番号の持ち主は電話に出る性格である」「女性である」「高齢者である」といった属性情報を瞬時に収集します。さらに、一度でも詐欺グループの自動音声を聞いてしまうと、人間は心理学でいう「認知過負荷(Cognitive Overload)」と「権威への服従バイアス」に陥ります。「法的措置」「裁判所の通達」「警視庁捜査二課」といった強い言葉を投げかけられることでパニック状態に陥り、自らATMへ向かったり、電子マネーを購入したりする泥沼へと引きずり込まれてしまうのです。