ムカデに噛まれた跡を観察すると、一般的な虫刺されとは明らかに異なる特徴が見られます。ムカデは昆虫ではなく節足動物の唇脚綱に属し、頭部にある「顎肢(がくし)」と呼ばれる鋭利な毒爪で皮膚を挟み込むようにして咬みつきます。そのため、ムカデに噛まれた跡の写真や臨床所見では、皮膚に2つの赤い刺し傷(牙痕)が並んで残ることが極めて特徴的です。
傷口の間隔は個体の大きさによって異なりますが、およそ数ミリから1センチ程度離れた2箇所の点状出血や小出血斑として確認できます。噛まれた瞬間に電気が走ったような激痛が生じ、その後数分から数十分で牙痕の周囲が真っ赤に腫れ上がり、熱感と拍動性の強い痛みが広がっていきます。
ムカデの毒による症状の経過は、大きく分けて「急性期(直後〜数時間)」と「遅発期(翌日〜数日間)」の二段階で進行します。噛まれた直後の激痛は数時間で徐々に引いていくものの、翌日以降になると激しい痒みと硬結(皮膚の硬化)を伴う二次的なアレルギー反応が始まります。適切な初期治療を行わなかった場合、発赤の範囲が手のひらサイズ以上に拡大したり、患部中央に大きな水ぶくれ(水疱)が形成されることも珍しくありません。