ウェブ上の簡易動画やSNSで紹介されている折り方の中には、長期的な本の保存という観点から見ると避けるべき手法が散見されます。大切な蔵書を傷めないために把握しておくべき盲点を取り上げます。
誤解1:折り目を定規などで極限まで鋭角につぶす
仕上がりをピシッと見せようと、折り目をヘラや爪で強くこすりつけて潰す人がいます。しかし、紙の繊維を極端に押し潰すと、その部分から繊維が破壊されて裂けやすくなります。さらに、本の表紙の厚みに対するクッション性が失われ、本を開閉するたびに表紙の角に無理な力がかかって本自体を摩耗させる原因になります。折り目は指の腹で優しく押さえる程度に留めるのが鉄則です。
誤解2:カバーが外れないようセロハンテープで表紙に固定する
「袖から表紙が抜け落ちるのがストレス」という理由で、カバーの折り返しと本の見返し部分を粘着テープで固定してしまう行為は絶対に避けてください。市販の一般的な透明テープは、経年劣化によって粘着剤が酸化し、数年で茶色く変色して紙に油染みのような跡を残します。一度染み込んだ粘着剤は修復が不可能です。固定したい場合は、弱粘性のマスキングテープを表紙に触れない「カバー紙同士の重なり部分」にのみ使用してください。
誤解3:英字新聞をそのまま使って包む
ビンテージな風合いでおしゃれに見える新聞紙ですが、一般的な新聞印刷に使われるオフセット輪転インキは油分を含んでおり、手のひらの熱や摩擦、湿気によって簡単に色移りします。白い表紙の本や高価な単行本にそのまま巻き付けると、本の表紙に活字が転写されてしまいます。新聞紙を使用する際は、内側にA4コピー用紙を1枚挟んで二重にするか、あらかじめ紙全体に薄くデコパージュ液やマットバーニッシュを塗布してインクを定着させる配慮が必要です。