歴代の日ロ首脳会談において、主導権を握ったのは官邸のトップダウンだった。これに対し、従来の条約交渉の原則を守ろうとする外務省のチャネルとの間には、時に深刻な齟齬が生じたという。
「歴史的快挙」を焦る官邸のスピード感と、法的手続きや安全保障上の裏付けを重視する実務チームの慎重論。官邸主導の外交スタイルは意思決定の速さをもたらした反面、実務層における対露交渉のカードを自ら狭める結果となった側面も否定できない。密室で交わされた約束がどのようなプロセスで検証されたのか、今なお議論が尽きない理由がここにある。