多くの国民が抱く最大の疑問は、「なぜ自宅に切断された頭部がある状況で、警察に通報できなかったのか」という点に尽きます。法廷の証言や押収された家族間のやり取りから浮かび上がったのは、外部からは想像もつかない閉鎖空間の病理でした。
田村家では、瑠奈被告の意向が絶対の掟となっていました。両親は瑠奈被告を「お嬢さん」と呼び、入浴や食事の時間、部屋への立ち入りに至るまで厳格なルールを課されていました。父親である修被告は瑠奈被告の送迎や買い物を命令通りに行い、母親の浩子被告は娘の機嫌を損ねないよう家事に奔走するという、完全に主客が逆転した生活が何年も続いていたのです。
事件直前、瑠奈被告が被害男性とのトラブルを訴えた際も、両親は「警察へ相談する」「娘を精神科病院へ医療保護入院させる」という常識的な初動を取ることができませんでした。「通報すれば瑠奈が暴れて命を絶つかもしれない」「家族が完全に崩壊する」という極度の恐怖が、正常な判断力を完全に奪い去っていたと専門家は指摘しています。