大手ネット掲示板やSNS、知恵袋、さらには保護者座談会などで語られる「生の体験談」を分析すると、成功者と失敗者の行動パターンには残酷なほどのコントラストが存在します。
都内の公立上位校に合格した生徒の保護者(40代・会社員)は、自著ブログやSNSの手記で次のように振り返っています。
「中2の冬、数学の偏差値が52で完全に頭打ちになり、焦った私はネットで評判の良かった最高水準問題集を買い与えました。しかし、息子は解説を読んでも全く理解できず、机の前で頭を抱えてフリーズする毎日。親としてもイライラして家庭内の空気は最悪でした。意を決して塾の室長に相談したところ、『今すぐその問題集を取り上げてください』と一喝されました。そこですべてを捨て、『中学教科書ワーク』と『くもんの基礎がため』を中1の単元からやり直させたのです。息子は『解ける!わかる!』と息を吹き返し、中3の秋にはハイクラス徹底問題集をスラスラ解けるレベルに到達。結果として偏差値は64まで跳ね上がりました。あの時、難問への執着を捨てていなければ間違いなく受験そのものが破綻していました」(保護者の手記より要約)
現場の塾講師陣が口を揃えて指摘するのは、「親の教育不安の身代わりとして問題集が増殖する現象」です。子どもの成績が下がると、親は不安を解消するために新しい問題集を次々に買い与えてしまいます。しかし、生徒側からすれば「終わらない課題の山」を突きつけられ、精神的に追い詰められるだけです。
家族社会学の観点からも、親が子どもの学習ペースを過剰に管理・支配しようとする「教育虐待」や「共依存」の構図は深刻な問題となっています。健全な自立学習を促すためには、親と子の間に適切な「心理的バウンダリー(境界線)」を引き、問題集の選定は生徒本人の納得感を最優先に置かなければなりません。