「筋肉痛がこないと筋トレをやった気がしない」「筋肉痛こない筋肥大への影響が不安でたまらない」という声は、フィットネス愛好家のコミュニティで毎日のように飛び交っています。しかし、断言します。筋トレ効果なしの真相を紐解くと、筋肉痛と筋肥大の相関性は極めて低いことが分かっています。
長年、筋力トレーニングの世界では「筋線維を激しく破壊し、強い炎症(痛み)を起こすことでしか筋肉は太くならない」と盲信されてきました。しかし、国際的な運動生理学会が発表した複数のメタアナリシスやスポーツ科学の知見において、筋肉の微小損傷に伴う痛みと筋タンパク質合成率の上昇は別個のプロセスであると明確に示されています。
都内大手パーソナルジムでチーフトレーナーを務めるA氏(指導歴14年)は、現場の実情を次のように明かします。
「『先生、翌日に全く痛くならなかったので、負荷が足りなかったですよね?』と質問してくるクライアントは後を絶ちません。ですが、定期的に測定するインボディ(体成分分析)の数値を見ると、筋肉痛を感じなくなってからのほうが安定して除脂肪筋肉量を増やしているケースが圧倒的に多いのです」
筋肉が肥大するために不可欠な筋肉の成長シグナルの正体は、痛覚を刺激する微細な筋線維の断裂ではなく、筋肉が強い張力に晒される「メカニカルテンション(機械的張力)」です。したがって、翌日に歩行困難になるような痛みがなくとも、所定の負荷を筋肉へ与えられていれば、筋肥大のスイッチは間違いなくオンになっています。