公開当時の劇場の熱気、そしてSNSや映画レビューサイトにおけるリアルな評判はどうだったのか。大手映画レビューサイト(Filmarksや映画.com)のスコア推移や、X(旧Twitter)における実況・考察ポストを分析すると、ある興味深い二極化の傾向が見えてくる。
「Jホラーの傑作だと思って行ったら、途中から極上のジェットコースタームービーになった」「一人称視点のカメラワークが完全にホラーゲームのプレイ感覚で震えた」という絶賛の声が並ぶ一方、従来の純文学的・心理的なジャパニーズホラーを愛好する層からは「ホラーとしての品格に欠ける」「後半の展開がアグレッシブすぎて怖さが吹き飛んだ」という戸惑いの声も上がっていた。
しかし、この「賛否両論」こそが永江監督の狙い通りであったことは明白だ。映画制作関係者の証言によると、現場での監督は常に「観客の退屈」を何よりも恐れていたという。退屈な正解を選ぶくらいなら、過剰な演出と予想を裏切る展開で観客の感情を揺さぶり尽くす。現場スタッフに対しても、細部の伏線配置や音響のタイミングについてミリ秒単位のこだわりを見せる一方、俳優陣には極限状態の生々しいパニック表現を強く求めたという。