作中でシロさんが作るローストビーフが満を持して登場するのは、単行本『きのう何食べた?』第17巻(#133)です。長年、筧家・矢吹家のクリスマスといえば「ラザニア、鶏肉の香草パン粉焼き、明太子ディップとバゲット」が定番のごちそうメニューとして定着していました。しかし、年齢を重ねたふたりの健康面やカロリーへの配慮、そして調理オペレーションの進化とともに、満を持してメインディッシュの座に就いたのがこのローストビーフでした。
よしながふみ氏が描く料理描写の魅力は、単なる華やかさだけでなく、「手際よく短時間で後片付けまで完了する合理性」にあります。弁護士として几帳面にスケジュールを組み立てるシロさんの性格が色濃く反映されたこのレシピは、特別な調理器具を一切買い足すことなく、手軽にプロ級のディナーを完成させられる実用性の高さが特徴です。