「ベランダの物干し竿に鮮やかな青い鳥が止まった」「駅前の高架下で青い鳥が美しく鳴いていた」といった目撃談が、SNSやQ&Aサイト上で日常的に投稿されています。投稿写真の多くには「これってカワセミですよね?」という期待に満ちたキャプションが添えられていますが、その大半はイソヒヨドリ(雄)の誤認です。
本来、カワセミ(ブッポウソウ目カワセミ科)は小魚や水生昆虫、淡水エビを捕食して生きる完全な水辺依存型の野鳥です。澄んだ河川、公園の池、親水護岸、干潟などの水辺を離れ、住宅街の路地やマンションの3階以上のベランダ、乾燥した市街地の中央を単独で徘徊することは、移動の途中で一時的に迷い込んだ極めて稀なケースを除き、生物学的な習性としてまずあり得ません。
日常の生活圏で見かける青い鳥の正体は、環境適応能力を極限まで高めて都市空間を我が物顔で飛び回るイソヒヨドリです。「青い鳥=カワセミ」という先入観が強すぎるあまり、体色のインパクトだけでカワセミと直結させてしまう認知バイアスが、ネット上の誤認投稿を量産する最大の背景となっています。