月の裏側が見えない理由とは?潮汐固定の仕組みと探査機が暴いた真実

月の裏側が見えない理由とは?潮汐固定の仕組みと探査機が暴いた真実

月の裏側が見えない理由とは?潮汐固定の仕組みと探査機が暴いた真実の真相や最新動向に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。

半世紀以上にわたる無人探査機のデータ解析によって、月の「表側」と「裏側」は、単に見える・見えないの違いにとどまらず、地質構造や外観がまるで別天体のように異なっていることが明らかになっています。

両者の構造的な差異を客観的な観測数値で比較したデータが以下の通りです。

比較項目地球から見える「表側」地球から見えない「裏側」地質学的・探査的な分析評価月の海(玄武岩平原)の割合約31.2%(広大に分布)わずか約1〜2%(極小)裏側には黒く滑らかな「海」がほぼ皆無。白い高地が98%以上を占める。月の地殻の厚さ平均 約30〜40 km平均 約60〜80 km(一部100km超)裏側の地殻は表側より圧倒的に分厚く、内部のマグマが地表へ噴出しにくかった。クレーターの密集度比較的まばら(海が埋没させた)極めて高密度(過密状態)宇宙空間からの隕石衝突痕が溶岩でリセットされず、太古の記録がそのまま残存。発熱元素(KREEP岩)の分布嵐の大洋周辺に極端に集中ほぼ皆無ウランやトリウムなどの放射性元素が表側に偏在し、長期にわたり火山活動を維持させた。地球との直接無線通信常時直接通信が可能物理的に完全に不可能(遮蔽)月の本体が電波を遮断するため、探査機着陸には中継通信衛星の配置が必須。

私たちが地上から見る「月の海」は、かつて巨大衝突によって生じた盆地に、内部から噴出した玄武岩質の黒い溶岩が流れ込んで固まった平原地帯です。しかし裏側にはこの海がほとんど存在せず、一面が凹凸の激しいクレーターに覆い尽くされています。

なぜここまで表と裏で地質が異なるのかは長年の謎でしたが、近年の惑星物理学では、初期の巨大衝突(ジャイアント・インパクト)直後、灼熱の地球からの熱放射に晒され続けた表側と、冷えやすかった裏側でマグマオーシャンの冷却速度に大きな差が生じ、裏側にアルミニウムなどの軽い鉱物が浮上して分厚い地殻を形成したという説が有力視されています。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。