華やかな評判が先行する一方で、保護者が最も神経を尖らせるべきなのが「卒業率」と「在籍期間の長期化(いわゆる留年)」の問題です。信濃むつみ高校は単位制であるため、学年という概念がなく、厳密には「留年(原級留置)」という処分はありません。しかし、通算3年以上の在籍と74単位以上の修得という文部科学省の規定を満たさなければ、高校卒業資格は得られません。
取材によって判明した同校のリアルな落とし穴は、「レポートの提出締め切りを自発的に守れなくなる生徒の存在」です。全日制のような厳しい出席確認や担任からの怒声がないため、朝起きられずに通学を先送りにし、レポートの締め切り直前になって膨大な未提出課題に圧倒され、そのままフェードアウトしてしまうケースが毎年一定数生じています。
こうした中退リスクを防ぐため、同校では「チューター制」による個別面談を強化しています。学習が進んでいない生徒に対して頭ごなしに叱責するのではなく、「なぜ今机に向かえないのか」「生活リズムのどこにボトルネックがあるのか」を心理的安全性を保ちながら紐解いていくアプローチが取られています。つまり、この学校を3年で確実に卒業できるかどうかは、「困ったときに自分から教員にSOSを出せるか」という一点にかかっていると言っても過言ではありません。