彼女のキャリアを語る上で欠かせないもう一つの不朽の名作が、阿部寛とコンビを組んだ『TRICK』シリーズだ。自称天才マジシャン・山田奈緒子と物理学者・上田次郎の妙な掛け合いは、長年にわたり日本中を爆笑と感動の渦に巻き込んだ。
コメディからシリアスまで自在に行き来する阿部寛との掛け合いの中で、彼女は絶妙な間とリアクションを研ぎ澄ませていった。当時を知る撮影スタッフによると、長期間にわたるシリーズ撮影の中でも、シーンごとの役柄の心情変化に合わせて細かくビジュアルや体調をコントロールしていたという。自らの肉体を表現手段として完全にコントロールするプロ意識は、この頃すでに完成されていたのだ。