近年、数々のスポーツドキュメンタリーや野球ノンフィクション作品が島野育夫を取り上げるのはなぜか。それは彼が、昭和から平成のプロ野球が持っていた「剥き出しの人間ドラマ」の体現者だったからに他ならない。
乱闘が起きれば誰よりも先に飛び出し、選手を守るために審判へ猛抗議する。病魔に冒され、身体が悲鳴を上げていても、ユニフォームを着ればグラウンドで誰よりも大きな声を張り上げた。本物の勝負師だけが持つ凄みと、選手に対する底知れぬ愛情。文字や映像を通じて語られる彼の生き様は、効率化やスマートさが優先される現代において、強烈なカタルシスを与え続けている。