初夏の自治体窓口には、送付された納付通知書を握りしめた市民の列ができます。SNS上でも毎年「国保の納付書が届いたが、月額8万円を超えていて絶句した」「税金と合わせたら手取りの半分近くが消える」といった切実な投稿が溢れかえります。現場の行政関係者を取材すると、「物価高と実質賃金の伸び悩みが続く中、前年の収入をもとに計算される保険料とのタイムラグに耐えかねた住民からの相談が例年以上に急増している」との証言が得られました。
会社員時代は給与明細から天引きされていたため意識しにくかった健康保険料ですが、国民健康保険に切り替わった途端、年間の総額が一括または全10回などの分割で直接請求されます。病気やケガの治療という機能自体は変わらないにもかかわらず、手取り収入に対する体感的なダメージは跳ね上がります。役所の窓口で納付猶予や分割相談を求める市民が増加している背景には、制度設計と個人の生活実態との間に生じている深刻な乖離があります。