ネット上の育児フォーラムや過去の育児書には、現代の小児救急医学の視点から見ると危険を孕んだ誤解が散見されます。その代表例が「胃の構造上、右を下にして寝かせるのが絶対正義」という言説です。 確かに解剖学上、胃の幽門(出口)は右側に位置しているため、新生児横向き寝右側臥位の注意点を理解した上で短時間行う分には理にかなっています。しかし、生後数週間の新生児を横向きに固定しようとして、背中に丸めたバスタオルや市販のサイドポジショナー(寝姿勢クッション)を置く行為には重大な落とし穴が存在します。 赤ちゃんが眠りながら身悶えした際、クッションを乗り越えてうつ伏せに倒れ込み、自力で顔を上げられずに窒息に至る事故が国内外で多数報告されています。厚生労働省やこども家庭庁が推進する乳幼児突然死症候群SIDS予防のガイドラインにおいて、「睡眠時の体勢は一貫して仰向け寝(背臥位)」が徹底周知されているのはこのためです。窒息を防ぐための横向き寝が、皮肉にも最悪の事故を誘発してはなりません。 もう一つの誤解は、「ゲップはいつまでも親が出させ続けなければならない」という思い込みです。赤ちゃんゲップいつまで必要かという疑問に対する医学的な目安は、「首がすわり、寝返りを始める生後4〜6カ月頃まで」です。 腹筋や背筋が発達し、自力で寝返りを打ったり、腹ばい(タミータイム)で遊ぶようになると、体勢の変化に伴ってゲップやおならが自律的に排出されるようになります。ゲップ出しに苦心する期間は、赤ちゃんの全生涯のうちのわずか数カ月間に過ぎないという事実を胸に留めておく必要があります。
赤ちゃんがゲップせず寝るのは危険?窒息リスクと小児科推奨の寝かせ方
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