突如として玄関から一歩も出られなくなる背景には、どのような心身の異変が起きているのでしょうか。多くの当事者が口を揃える外に出るのが怖い理由として最も多いのは、心身のエネルギーが完全に枯渇している状態、あるいは無意識に生じた強い「予期不安」です。
医学的知見に基づくと、人間は過度なストレスや慢性疲労に晒され続けると、交感神経と副交感神経の切り替えが機能しなくなります。これがいわゆる自律神経失調症と不安感の密接な連動です。交感神経が過剰に昂ぶると、脳の扁桃体が「外の世界=生命を脅かす危険地帯」と誤認し、心拍数の上昇、めまい、過呼吸、冷や汗といった闘争・逃避反応を強制的に引き起こします。
「昨日までは普通に出勤できていたのに、今朝になって突然動けなくなった」と語るケースは珍しくありません。精神科医の臨床報告でも、これはある日突然病気が発生したのではなく、コップの水が表面張力を失って決壊するように、蓄積された微細なストレスが限界値を超えた瞬間に顕在化するものと説明されています。身体が強制ブレーキをかけている状態であり、本人の意思の強弱とは一切関係がありません。