名作から歳月を重ねた今、主要俳優陣はどのような歩みを見せているのか。達郎役を熱演した武田鉄矢は70代後半の円熟期を迎え、俳優としてはもちろん、日本の歴史や文化を独自の視点で語る語り部・コメンテーターとして確固たるポジションを築いている。現場で極限まで己を追い込んだ当時の経験について、後年の取材で「あの夏は達郎そのものになりすぎて、撮影が終わっても数ヶ月は日常生活に戻れなかった」と述懐しているのが印象的だ。
一方の浅野温子もまた、紆余曲折を経て独自の境地に達している。体調不良による一時的な休養を乗り越えた後は、舞台演劇を中心とした一人語りの公演や、映画・単発ドラマでの深みのある怪演で観客を圧倒し続けている。往年の華やかさに加え、年齢を重ねたからこそ出せる哀愁と凄みを宿した表現力は、今なお同業者から羨望の眼差しを集める。
弟役の江口洋介は、骨太な映画や配信の大作ドラマで重厚な存在感を放つトップランナーとして第一線を疾走。石田ゆり子はナチュラルな生き方と成熟した女性美の代名詞となり、長谷川初範は重厚なバイプレイヤーとして舞台や映像作品に欠かせぬ存在だ。かつてひとつのドラマに集った若き表現者たちが、誰ひとり立ち止まることなくキャリアを深化させている事実そのものが、この作品の持つ生命力を物語っている。